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つまり、少なくともあと40分間は家に帰れず、逃げまわるなり隠れるなりし続けなければいけないのか。
「……面倒くさいな、覚えてろよあの屑ども」
小さく舌をうち呟く。
しかしこうしていても仕方ない。見つかっても逃げきる自信はあるが、走りまわるのは面倒だ。見つからないに越したことはないだろう。
少しでも見つかりにくいところに隠れて、あとは時間が経つのを待つか。
そうと決まれば、と気配を消したまま、大通りに一歩足を踏み出そうとした瞬間、少し遠くから大きな黄色い悲鳴が響き渡った。
「!」
驚きに思わず足を引く。
こちらへと広がっているその黄色い声は大勢の女性のもののようだ。
再度身を隠し、警戒しつつ様子を伺えば、その騒ぎの中心には女性達に囲まれた三人の男の姿があった。
「……げ、」
思わず小さく声を洩らす。
――……もう来やがったのか。思ったより早いな……。
しかも三人そろって来たということは、俺がこの周辺に居るということを掴んでいるのだろう。
――……一体どうやって此処に目星をつけたのか。
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