主人公鉄則6「押しに弱い」

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――あぁ……なんて馬鹿な奴ら。 あんなもので簡単に騙されて、群がるように集る彼女たちに呆れ果てる。 まぁ、仕方ないか。――……“あれ”が人間の本質だ。 所詮誰も彼も、みんな彼女たちと同じ、見た目や利益ばかりを見て、安い言葉に釣られる馬鹿ばかりなのだから。 冷えきった心の奥の感情(もの)を強く自覚しながら、ふと視線を橘に戻せば、彼は未だに笑顔で彼女たちに言葉を振り撒いていた。 だがその笑顔の裏で、彼が内心、彼女たちの“その”反応を愉しんでいるように見えるのは、俺の勘違いではないだろう。 ――……本当、いい性格してるよ。よくもまぁ、あれだけポンポンと軽い言葉が出るもんだ。 口から生まれたっていうのはあいつみたいな奴を言うんだろうな、と呆れた顔で見ながら考える。
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