主人公鉄則6「押しに弱い」

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男が怒声と共に、水城へと駆け出す。 「…………!」 その声に水城が漸く刃物を握る男の存在に気付く。しかし体勢が整わず反応が遅れた。 「拓哉……っ!!」 橘と如月も驚愕に目を見開き、慌てて水城へと駆け出す。だけど、これも間に合いそうにない。 それらの動きを全てスローモーションのように感じる中、一瞬の内に様々な想いが交錯する。 水城ならあれくらい避けられるだろう。 ――無理だ間に合わない。 助ける必要なんてない。 ――そんなこと関係ない。 何故俺が助けにいかなきゃいけないんだ。 ――そんなの……だって……。 面倒なことに巻き込まれるなんて死んでもごめんだ。 ――……そう、だ、死んでも……死……? 放っておけばいい。 ――――死んでしまうかもしれないのに――――? その瞬間、自然と身体が動いた。
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