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「さて、と……」
呟き、文字通り死屍累々となった周囲を軽く見渡した後、スッと眼鏡をはずして歩みを進めた。
向かう先には、最初に蹴り飛ばしたリーダーらしき男がかろうじて意識を保って倒れ伏している。
「……っ……う……」
小さく呻き、こちらを見上げてくる男の目前にしゃがみこみ、ガッと頭を片手で掴む。そのまま男の頭を地に抑えつけ、視線を合わせた。
「次は容赦しねぇぞ。これ以上痛い目みたくなけりゃ大人しくしろ」
低く告げる声と共にばさばさっと男の目前に他の奴らの生徒手帳をばらまいた。そしてその上から、男が持っていた“はずだった”ナイフを落とす。
カラン、と地面にすべり落ちたそれを目にした男はサッと顔色を青く変えた。
「喧嘩ごときで刃物なんか使ってんなよ、カス」
「……っ……」
恐怖に慄く男がそっと揺れる視線をこちらに戻したのを確認して、言葉を続ける。
「いいか、これから言う事をあとで全員によく言って聞かせとけ。まず二度と馬鹿なまねはするな、かつあげも含めてな。次に俺のことは全て、他言するな。もちろんこの事もだ」
いいな、と冷たく見下ろせば、男は青い顔で微かに頷いた。
「あと俺に二度と関わるな。仕返ししようなんてもってのほかだ。……あと……後ろのあいつらにも手出すんじゃねぇぞ」
後半は苦々しい思いで渋々呟く。
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