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くそ……っ、なんか癪だな。なんで俺があいつらを庇わなきゃいけねぇんだよ。
「あいつらに何があろうと、あいつらがどんな被害を被ろうと俺には関係ないから全く構わないのだが、変な形で俺に飛び火しては敵わない。厄介な面倒事に巻きこまれるのだけはごめんだからな」
言い訳のような言葉を、奴らに聞えるように言い捨てて、チッと舌を打った。
それにも男が頷いたのを確認してから、立ちあがる。それに合わせて、ふらつきながら男もゆっくりと身体を起こした。
「解ったらさっさと帰れ」
吐き捨てるように告げれば、男は何も言わずに立ちあがる。そして周りの意識を取り戻した数人と共に、意識のない奴をひきずるようにして去っていった。
「………………」
男達が素直に去っていったことはいい。それは多いに結構だ。それはいい、のだが。
……このあと俺はどうすればいいんだ。
内心、若干、一件落着のような流れになりかけたが、ふと我にかえり、今の自分の状況をふりかえった。
……まずい。非常にまずい現状にある。
これからどう切り抜けるかを全く考えていなかったことに漸く気付いた俺に、非情にも背後から魔の手が伸びる。
「り・ん・ちゃん」
「……っ……!!」
真横から囁かれたそれにぞわり、と全身の毛が逆立つのを自覚すると同時、するりと背後から伸ばされた腕が俺を羽交い絞めにする。
咄嗟に条件反射でその腕を薙ぎ払おうとするが、思いの外力が強く、逃れきれない。必死で藻がく俺に、再び横から声が囁いた。
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