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「……今、――……なんて……?」
戸惑いに震える声をなんとか絞り出して、問いかけた。
「お前は本当にお人好しだってことだよ」
すると、背後からそれまで黙ったままだった如月の喜色が滲む声が響く。
「……っ……ど、ういうーー……」
……ーーどういうことだーー……。
問いかけたい言葉は、しかし既に頭の片隅で辿り着いている一つの答えを否定したい思いに阻まれて最後まで言うことができなかった。
思考を放棄してしまいたいほどの嫌な予感に、身体から力が抜けていく。背中を嫌な汗が伝った。
そんな俺の思いなどお見通しだと謂わんばかりに、再び橘と水城が喜々とした声で言葉を続ける。
「言っただろ?“わざわざ”助けに“出てきて”くれてありがとなって」
「ちゃんと“知ってた”よ。君がこの近くに隠れていたことはね」
ーー……っ……騙された……ーー!!
残酷にも的中した事実に、鈍器で殴りつけられたような衝撃を受ける。
そして、当然次にわき上がってくるものは怒りだ。
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