391人が本棚に入れています
本棚に追加
/145ページ
「……ってめぇら騙しやがったのか……っ!!」
しかし感情にまかせて叫ぶも、身体は二人がかりで押さえつけられたままであるため、どうすることもできない。
……くそ……っこいつら……っ
「…………っ……」
ギリッと歯を食いしばり、行き場のない憤りを堪えて地面を睨みつける。
……こいつらも最低だが、今回は俺も馬鹿だった。冷静でいたつもりが、あっさりと騙されて、結局こいつらの思い通りに踊らされて。
ぐるぐると自責の思いが頭を満たす。
「怒らないでくれよ、鈴ちゃん。こっちも必死だったんだぞ」
「そうだよ、結構危ない賭けだったんだ。もし君が出て来なかったら、ギリギリで急所は避けられるように構えていたとはいえ、間違いなく僕はどこかしら刺されていただろうしね」
しかし次の瞬間には、笑いながら宥めるように言った橘と水城の言葉に沸き上がる自己嫌悪も吹き飛んだ。
ああ、こいつらよほどの馬鹿なんだな……。
しみじみとそう思った。
だって馬鹿だろ!?俺を誘き出すためだけに自分を餌にして、怪我することさえ厭わないんだぞ!?究極の馬鹿だよ!!
「お前ら馬鹿だろ!!」
あまりの馬鹿さ加減に呆れ果てて、それしか言葉が出てこない。
最初のコメントを投稿しよう!