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すると俺の心の底からの叫びを気にする様子もなく、如月が笑う。
「馬鹿だろうと何だろうと構わないさ。お前との勝負に勝てるなら」
瞬間、俺は数秒の間ぴしりと身を固める。ついでに思考もとまった。
……騙されたことがショックで約束を忘れかけていたが、急速の思いだし、サッと素早く思考が回り出す。
”俺を時間内に捕まえれば三人の勝ち、俺が負ければ三人と友達になる。”
そういう勝負だ。……そうだ、確かにそう約束した。
……これは俺の敗北、なのだろうか。
いや、確かにそう約束はしたし、賭の内容には負けたといえる……。
だ・け・ど。
「ふっざけんな!まさかこの卑怯な勝ち方で勝負を有効にする気かっ!?」
普通になしだろ!無効だ無効!!
「騙されたことは確かにしてやられたと思うけど……っ、これは明らかに反則だろ!!勝負自体が無効だ!!」
こんな屈辱な負け方、認められるわけないじゃないか!!
なんとかこの窮地を脱しようと、必死に噛みつく勢いで叫ぶ。
だが、橘と水城は表情を変えることなく、むしろ愉しげに目を細め、口角をつり上げた。
そして、橘が口を開く。
「いいや、勝負は有効だぞ。お前は素直に負けを認めて俺達と友達になるんだ」
……何を勝手なことを……っ
俺が抗議の声を上げるよりも早く、続けて水城が言葉を引き継ぐ。
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