主人公鉄則7「諦めが悪い」

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「……悪夢だ、きっとそうに違いない」 いや、絶対そうだ。そうじゃなきゃ何だと言うんだ。 俺は眼前に広がる光景に、小さく呟く。 その呟きに応える声が一つ。 「悪夢も何も、これは現実だよ」 それを嘲笑うように……否、実際嘲笑して如月が言葉を返した。 「ーー……なんでお前らがここに居る……っ!!」 俺は心の奥底からの疑問を吐き出した。 ーー……遡ること数十分前ーー…… 「鈴斗ー、あんたさすがにいい加減起きなさい。いくら休日だからって昼過ぎまで寝てんじゃないわよ」 バサッと勢いよく俺から布団を剥ぎとった姉貴が、呆れた顔で溜息をつく。 「ーー……うるさい……」 「今何か言ったかしら?」 「ーー………………」 極小さく、しかも俯せで顔を枕に埋めたまま呟いたはずなのに、姉貴が綺麗な笑みで聞き返した。 ーー…………地獄耳め。 内心、そんな悪態を吐きながら、枕の下に顔をうずめて沈黙を貫く。
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