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「恥ずかしからずに開けてくれよ!ちょっとだけ!ちょっとだけでいいんだよ!その手の力を緩めて、俺を受け入れてくれ、鈴ちゃん!」
「おまわりさぁーんっ!!」
ここです!こいつが変質者です!
思わずご近所の目とか外聞とか、猫被りだとか諸々を忘れて、青ざめながら叫んだ。
悪徳セールスなんかじゃねぇ!こいつはもっと質の悪い変態だ!!
誰か一刻も早くこいつを連行しろ!そして今すぐ俺を助けろ!
ここで負けたら全てが終わる気がする!!
「うるさいわよ、鈴斗。何を玄関先で遊んでるの」
混乱と恐怖が渦巻く頭で必死に念じた俺の思いが通じたのか。姉貴が顔をしかめて、階段を降りてきた。
助かった!
姉貴の登場に安堵し、つい無意識に力が緩んだ。
「チャァァアアンス!今のうちにィ!!」
「ぎゃあああああああ!!」
しまった!
その隙を見逃す橘ではなく、彼は一気に扉を押し開く力を強めた。それに気付いて慌てて力を強めるも、その一瞬の間に、扉の隙間は先ほどまでより大きくなってしまっていた。
「もう少し……っ!」
「やめ………っ!姉貴!早く助けろ!!」
ぐぐっと身を乗り出し両肩を割り込んで押し開こうと奮闘する橘に焦り、思わず姉貴に助けを求めて叫んだ。
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