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「僕、普段から特に問題も起こしてないし、平凡な学校生活送ってるから、先生にも印象薄いんじゃないかな?」
控え目な、と称するにふさわしい弱々しく柔らかな微笑みを浮かべる弟に、響は顔をしかめた。
「気っ持ち悪」
吐き捨てられた言葉に対し、鈴斗は心外だというように肩を竦める。
「馬鹿兄貴なら泣いて歓喜すんのに」
「あれと一緒にしないで頂戴」
比較対象が特殊すぎることは承知の上でそう告げれば、遮るように即座に切り捨てられた。
喰いぎみすぎだろ。どんだけ嫌なんだよ。
相変わらずの彼女の兄の扱いに密かに苦笑する。
そんな鈴斗の心中などいざ知らず、響はニッと唇を吊り上げ楽しげな笑みを浮かべる。
「それによく言うわ。あんた、しょっちゅう絡まれてるじゃないの」
「絡まれてません。僕の周りは至って平穏です」
「そんな演技してるから絡まれるのよ。そんなことしても無駄なんだから、いい加減諦めなさい」
ニヤニヤと笑いながら見下すその顔を睨みつける。
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