主人公鉄則1「トラブルホイホイ」

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舌を打ち、忌々しそうに二人を睨みつける。 「開き直ってんじゃねぇよ。少しは気にしろっての。それにな、学校にトラブルメーカーはもう十分足りてんだよ。これ以上は必要ないね」 兄姉の態度にはきっちりと釘をさしておく。たとえ全く効果がなく、まさしく"糠に釘"であったとしても。 そして、鈴斗は校内で耳にした"噂"を思い起こし、呆れた表情を浮かべた。 "あの噂"に対抗できるほどのトラブルを起こしたつもりは毛頭ない。--少なくとも、高校に入学してからは。……表だっては、ない。はず。 少々自信に欠ける鈴斗の内心など兄姉にはお見通しであったが、彼らはそこには触れずにおいてやった。 「必要不必要の問題じゃないでしょう」 しょうがない、と言わんばかりに響が呆れた溜息を零す。 「俺が不必要だっつったら不必要なんだよ」 兄姉のことをとやかく言えないほどの横柄さで、鈴斗はばっさりと彼女の反論を切り捨てた。 直後、それに対して「相変わらずお前は響に似て暴君だなぁ」なんて能天気に笑った鐘に響の蹴りがとぶ。 ゴシャァッと激しい音とともに、もろに顔で蹴りを受けとった鐘が床に倒れ伏した。 ――……馬鹿。余計なこと言うから……。 鈴斗は憐むような目でそれを見届け、静かに視線をそらす。 「何か言った?」 「い……いいえ……」 にっこりと笑みを浮かべて見下ろす響に、鐘はひきつった笑みを返し、ぷるぷると首を振った。 「そう。……それより鈴、さっきの学校のトラブルメーカーってのは?」 それに笑顔のまま頷き、響は何事もなかったように視線と話題を鈴斗へと戻した。 「……ぁ、……ああ……。うちの学校に有名な変わり者が三人居てな、そいつらトラブルばっかり起こしてるんだよ」 怒りの矛先がこちらに向かないか、巻き込まれやしないかと、内心肝を冷やしつつ、鈴斗はなんとか彼女の問いに答える。 答えながらも、多少引け腰になってしまうのは仕方ないと思う。 ひきつる弟の顔には触れずに、彼女はわざとらしく目を見開いた。 「あんた以外にあと二人もトラブルメーカーがいるのっ!」 「俺は入ってねぇよ!トラブルメーカーじゃないっつってんだろ!!」
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