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「ちょっ鈴、そんなに見つめないで!可愛い!上目遣い可愛すぎるんだけど!!」
舌打ちを堪え、悪態を内心にとどめていれば、兄貴が勝手に顔を輝かせ始める。
「本気可愛いいぃぃ!」
――……本気キモい。
口元を押さえてふるふる身体と瞳を震わせる様を内心冷たく見下す。
「鈴!今日は兄ちゃんと遊ぼうな!何して遊ぼうか!ゲームする?一緒にゲームするっ?」
お前の脳ミソはさぞ楽しいお花畑なんだろうな、おい。
でかい図体の三十路過ぎた男が小さな子供のようにはしゃぐ様子は、可愛さからはかけ離れていた。むしろこの絵面は凶悪な凶器である。
…うざい。非常にうざい。
しかし、やはねばならない。俺のゲームの為に。
深く重い溜め息を吐いてから、スッと分厚い眼鏡を外す。
そして顔を覆い隠す前髪をかきわけた。
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