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滝のような涙を流しながら、しかし満面の笑みで叫ぶ兄貴に柔らかく微笑みかける。
そして、次の瞬間、
ガッ!
「うっ……!!」
下から思いっきりアッパーを繰り出した。
「ありがとう、鐘兄。でも僕1人で出かけるから。留守番、よろしくね。」
もうお前に用はない。
言外にそう伝え、床でピクピクと身体を痙攣させているそれを見下ろしてにっこりと笑う。
「――あぁ、それから――……」
小さく囁き兄貴の襟首に手を伸ばして掴みあげた。
そして低く囁く。
「俺は“鈴(すず)”って呼ぶなって何度も言ってるよな?てめぇ、今日で何回呼びやがったか解ってんのか、あ゛?――……次呼んだら容赦しないからな。」
「す…既に容赦なんかなかったんですが……」
「ああ?」
死にかけの青い顔で呟く兄貴を下から鋭く睨み付ける。
今なんか言ったか?
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