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その反動を利用し、空中で身体をひねり反転させる。
パッと手を離し、塀の反対側へと降りる直前、塀の下で唖然としている馬鹿共を見下ろし笑った。
「それじゃ、さようなら。」
その後は塀に遮られ見えなくなる彼らを振り替えることなく、体勢を整え、トンッと軽く地面へと降りたった。
その衝撃で、風圧により浮き上がっていたフードがパサリと肩に落ちる。
「おっと、」
急いで素早くそれをかぶり直す。
さーて、帰ってゲームゲームっと。
引き続き浮かれた脳内で立ち上がる、と同時に視界に入った男の姿にピシリと身体が固まった。
―…やば…っ、人居たし!
完全に油断していた。人が居るか居ないかの気配を読むことすら怠るほどに浮かれていた先ほどまでの自分を激しく後悔する。
「――………。」
男は驚いた顔をしてこちらを凝視している。
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