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そりゃそうだよな…。いきなり壁から変な奴が降ってきたら驚くよな。
気まずさに耐えられず男から視線を反らす。
さて、どう誤魔化すか…。
危ない人に追われてて―…
普通の人は壁飛び越えて逃げたりしないよな。
火事場の馬鹿力って本当ですね―…
逆に怪しいだろ。
あーもう、面倒くせぇ。別に何も誤魔化さなくても、知らない他人なんだからこのまま逃げればいいか。
幸いフードで顔隠れてるし、行きずりの奴ともう会うこともないだろう。
ならば、と駆け出そうと顔を上げ、そして違和感を感じる。
…なんか…近くね?
気配なく側まで近寄っていた男に驚いた。
こいつ…いつの間にっ!!
じっとこちらを見つめるその顔をそっと見上げる。
…ていうか…なんかこの顔、見たことあるような……?
いやいや、そんな馬鹿な。そんなはずは……
嫌な予感に頬を伝う冷や汗を感じつつ、改めてその男の顔を見返す。
男はニッと口元をあげて笑った。
「――――っ…!!」
その笑みを見た瞬間、ゾワッと悪寒が走り、瞬時に身をひく。
男は一瞬微かに目を見開き、再び不敵な笑みを浮かべた。
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