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『それに…貴方、僕の顔見たことないでしょう』
そうだ。学校では目立たず生活している。顔を誰かに見られたことなんて一度もない、それどころか“僕”を個人の存在として認識してない奴も少なくないはず。
そしてこいつと対面したのは今日が初めてだ。
『見たぞ。』
『……いつ見たんですか?』
『さっき壁飛び越えて来た時、フード、脱げただろ?一瞬だけ髪と眼鏡の隙間からな。』
そう言われて、思い返せば、フードが脱げた一瞬、確かに髪や眼鏡も風圧で多少浮き上がった。
だがわずか一瞬の出来事だ。ただでさえ髪と眼鏡で見えにくくしているのに――…まさかあの一瞬で見えていたというのか。それも、ほんの少しの隙間から……!
……本当に見えていたとしたら……その動体視力……こいつただ者じゃねぇな……。
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