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事実、同学年の他のクラスの奴で僕の名前を知っているやつはほぼいないだろう。
なのになぜ……!!
しかし今はそんなことを気にしている余裕はない。
今はとりあえず……っ
『ようやく見つけたぜ。名前くらい教えてくれたっていいだろう?ハニー』
腕を広げた橘がそれをこちらに伸ばした。
『――……っ触んじゃねぇよこの変態っ!!』
瞬時に後ろに反り返る、と同時に両手を地面につけ、両足を上に勢いよくふりあげる。
――…とりあえずこの場から逃げるのが先決だっ!!
ガガッと二度の衝撃音が響き、橘の様子を伺う間もなく全速力でその場から走り去った。
*************
「鈴斗っ早く降りてきなさいっ。ご飯だって言ってるでしょう。今日はちゃんと学校行かないと解ってるわね!?」
階下から響いた姉貴の怒声にハッと我に帰る。
やばい、そろそろ本気で怒るな、あれは。
とりあえずどうするか考えるのは後だ。早く降りないと何をされるかわかったもんじゃねぇ。
慌ててベッドから降りて階下へとかけ降りる。
「ちょっ…兄ちゃん殴っといて放置……?てか響、その朝食作ったの、俺……」
後ろで呟く兄貴の声は聞こえないふりをした。
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