391人が本棚に入れています
本棚に追加
/145ページ
ふっと息をついて髪と眼鏡の下、こっそり嘲笑した。
次の瞬間、ゾワッと背中を戦慄が走り抜け、背後から不穏な気配を感じとる。
「みぃーつけた」
囁かれた聞き覚えのある低い声に、思わずバッとその場から飛び退き距離をとり、素早く後ろを振り返った。
「おはようハニー。」
その先には、無駄にいい笑顔を浮かべた橘がたっていた。
「……なんで…っ」
……なんでここに居るんだ……っ
俺の通学路、家からまだ数キロしか離れていないこの場所。
偶然ではあり得ない遭遇に嫌な予感がする。限りなく外れであってほしい予想に、背中を冷たい汗が流れる。
「なんでって、“迎え”に来たに決まってるだろ?りーんちゃん?」
――っ!!
……りんちゃん。――……“鈴(りん)”ちゃん。
「宮澤 鈴斗(みやざわ りんと)。見た目にぴったりな可愛い名前だな、鈴(りん)ちゃん?昨日は逃げられちまったからな。今日は学校まで一緒に行こうと思ってここで待ってたんだ」
最初のコメントを投稿しよう!