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「やっと見つけた獲物を逃す手はねぇからな」
その言葉に引っ掛かりを覚える。
「――……そういえば昨日もそんなこと言ってたな。」
あまりのイレギュラーな体験に動揺して思わず忘れてしまっていた昨日の言葉を思い出す。
『やっと見つけたぜ』
「――…昨日会ったのは偶然じゃなく、俺を探していたのか?」
つまり、最初から“僕”に目をつけていた……?
いや、“僕”は学校では極力存在を消している。
目につかないように、“僕”を意識されないように、出来るだけ記憶に残らないように。
そうなるように計算して振る舞っている。
会ったこともなかったこいつが“僕”を探す理由も術も何一つないはずだ。
ではこいつは何故、どうやって“僕”を探していた?
訝しげに顔をしかめる俺を気にとめず、むしろ面白そうに見下ろして、橘は得意気に笑った。
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