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「俺は人の気配に敏感でな。姿を見なくてもだいたいのことが気配で解るんだよ。性別、年齢、顔や性格とかな」
特に俺好みな奴はすぐに解る。んでもってその気配は一度覚えたら忘れねぇ。
ドヤァと効果音のつきそうなほどのドヤ顔を見せる橘。
「ただの変態じゃねぇか!」
その顔本気でイラッとするわ!なんなんだその無駄な能力。まじ引くわ。
思わず叫んでしまった俺を無視して橘は続ける。
「俺の好みドストライクな気配を見つけたんだが、その本人の姿が見当たらなくてな。学校に居るのは確かなのに、なぜかいつもその存在は見つからねぇ。学校の人混みの中から見つけるのは到底無理だ。そこで考えた」
橘は言葉を区切り、俺に視線を定めた。笑みを浮かべた口が、ゆっくりと開かれる。
「どうすればその存在を見つけられるだろうか」
眼鏡越しに視線が合った気がしてゾワリと悪寒が走った。
「すぐにいい案が見つかったぞ。その気配を探して追えばいい。人混みでなければすぐに見つけられるってな」
「―…それで昨日あそこにいたのか。」
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