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あれは偶然ではなく、俺を待ち伏せていた?
「苦労したぜ。何せお前にこっちの存在を悟られないように気配を消しつつ、俺はお前の気配だけを頼りに追わなきゃいけねぇ。」
何回も失敗して見失って大変だったと言う橘の表情は言葉に反して随分と楽しそうな笑顔だ。
敏感すぎるほどの感覚、そして優れた気配の操作。
俺があの時、こいつの気配に気付けなかったのも、それが原因か。
―…こいつ、予想以上に厄介だな。ただの変態じゃないってことか。
警戒を強め下から睨み付ける俺に橘が笑いかける。
「そうしたら昨日、いくら探してもその気配が学校にはない。
もし校外に居るなら見つけやすい。これはチャンスじゃないかと思ってな、探しに出て適当に歩いてみれば運良くその気配に遭遇。そっちは何だかんだ取り込み中の気配がしたし、ラッキーってことで気配を消してギリギリまで近づいてみれば、なんとそっちから壁を飛び越えてきてくれたわけだ。」
昨日の俺は超絶運が良かったなー。
そう言って橘は笑みを深めた。
ああそうかよ、こっちは昨日が史上最悪の厄日だ。
「つーか何堂々とサボってまで追跡してくれてんだよ。学校行けよ」
こっちは計算外の追跡されていい迷惑だ。
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