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サァッと橘の顔から血の気が引き青くなる。
それを見届けて俺は笑顔をそのままに、言葉を続けた。
「それじゃぁ、さようなら」
「ちょっ……!!待て待て!!ちょっと待て!!」
俺の言葉を遮るように橘が声を張りあげる。
「待たない」
「ちょ……っ冗談!冗談だっつの!言いふらす気なんか始めからねぇって!ちょっと冗談言ってみただけだろ!!」
本気にすんなよ!
焦るように捲し立てる橘を見つめ考える。ただし振り上げた拳はそのままで。
――…さっきのが本当に冗談だったとして、これから本当にこいつが言いふらさない確証はない。
だったらやっぱり口止めをするべきだろう。疑わしきは滅する、これは常識である。
いや、でもこいつは学校でも他校でも有名人だ。もしこいつが“居なくなれば”必然的に騒ぎになり、逆に俺のことがバレる危険性があがる……怪我を負わせるのも然り。故にシメて脅すのもあまり良案ではない。
なら他の方法を考えるか。
「――あー……本気面倒くせぇ…」
なんか面倒になってきたな。
チッと舌打ちをして橘に視線を向ける。
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