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「――……どうするかな」
ボソリと呟けば橘が、なぁ、と口を開く。
「…なんだよ。」
仕方なく返事をしつつ右手の拳を下げる。
先程までの脅えはどこへやら、橘はすでにケロッと普通の顔に戻っていた。むしろ楽し気な笑みを浮かべている。
「さっきのは冗談だとして、本題なんだが」
――まだなんかあんのかよ。
視線のみで先を促してやれば橘はニッと口端を引き上げた。
「やっぱり俺の好みだぞ、お前。すげぇ面白い。予想以上に気に入った。いや、さらに好感度があがったと言うべきだな」
「まだ言うか」
「待て待て待て待て」
再度右拳を翳せば橘は慌てて両手を持ち上げストップをかける。
「違う違う。“恋人”はもう諦める」
やっぱり冗談じゃなかったんじゃねぇか
ギロリと睨みつけるも橘は意にかえさず楽しそうに笑った。
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