主人公鉄則3「運動神経抜群」

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「その代わり、俺と“友達”になってくれ。“友達”なら良いだろ?」 ――……友達。 その橘の言葉に微かに視界が揺れる。強張った身体を誤魔化すように気付かぬふりをして、俺の口は自然と静かな言葉を紡いでいた。 「――……断る」 切り捨てる言葉は短く、その後の言葉は我ながら淡々としていた。 じゃぁな、言いふらしたらただじゃおかねぇから肝に命じとけ。 そう告げるとスッと身体をひく。そして無言で彼に背を向けて歩き出した。 「はぁっ…嘘だろっ?友達も駄目なのか?」 後ろから叫ぶ橘を無視して足を進める。その背を橘の声が追いかけてくる。 「友達になるくらいいいだろー。なぁ?なんで駄目なんだよ」 ――……“何故”? その問いに自然と足が動きをとめる。そしてゆっくりと微かに振り返り、口を開いた。 「――……“僕”に友達は必要ないからだ」 冷えた視線とともに、それのみを吐き捨てて、再び背を向けた。 ――そう、そんなもの。俺には必要ない。今までも、これからも。 内心そう呟き、黙って見送る橘を振り返らずに歩みを進める。 するとその行く手を塞ぐように俺の前に一人の男が姿を現した。
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