主人公鉄則4「頭脳明晰」

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「脅しにしては随分な威力だったね。コンクリートまで砕いちゃうんだからすごいよ、君」 今この瞬間砕かれたのは俺の希望だ畜生。 見られていたことに全く気づけなかった…っこの俺が! 今まで自分のものも含めて気配には敏く生きてきたと自負していたのに!橘に続き水城の気配にまで気づけないなんて… 酷くプライドが傷つけられ愕然とする。 そんな俺を放置して、爛々と瞳を輝かせて愉しそうに笑う水城に橘が、なんだ見てたのか、と声をあげる。 「全然気づかなかったぞ」 「当たり前だよ、気付かれないように本気で気配殺してたから」 「やっぱプロいな、お前。さすがだわ。俺そこまでできねぇし」 「そりゃ縮地法は僕の本領だからね。お前も大分出来るようになったじゃないか。昨日だって成功したんだろ」 いくら他事に気をとられていたとはいえ、あの警戒心の強い彼に気付かれずに彼の領域に入ったんだから上出来だよ そう言ってこちらに向けられた水城の指先を叩き落とす。 水城は叩かれた手に目を見開いた。しかしそれも一瞬のことで、すぐにそれは愉しそうな笑みに変わり、ひらひらと手を振った。 ようやく気を持ち直して冷静になった矢先、傷口を抉りやがって。 もういい。完璧にバレてしまっているのなら。 もう誤魔化すなんて無駄かつ面倒なことは止めた。
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