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『覚悟しろよ?』
そう言って笑った俺に二人はそれぞれ獲物を前にした獣のように目を輝かせ、愉しそうに口角をひきあげた。
『やっと本気を出してくれる気になったみたいだね、嬉しいな』
『じゃぁ俺らが勝ったらお前、俺らと友達になれよ。本気の勝負と言やぁ賞品があって然り、だろう?』
そこまでして友達になりたいか…見上げた執着心だな。
呆れと共に一つ溜め息を吐き出し、鼻で笑う。
…まぁ、問題はないだろう。――…俺がこいつらを潰せばいい話だ。
『いいよ?変態共に負ける気はしないからね』
にっこり、と綺麗に笑って頷いた。
瞬間、姿勢を構えた水城の横から、橘が素早く駆け出してくる。
大きく振り上げられ足に目をやることもなく、瞬時に地面を蹴りあげた。
――……動きは早い。技にキレもあるし勢いもいい。
眼前を過る足に感心しつつ後ろに飛び退く。
そしてフェイントである回し蹴りを避けると同時、正面から繰り出される追撃を左手でいなし、橘の腹に蹴りをかました。
『――っ……ぐ……ッ!』
咄嗟に腹筋に力をこめて衝撃を和らげたらしい橘は、それでも軽く後ろに吹き飛んだ。
反応も良いし、判断力もある。こいつ、結構やるじゃないか。
軽く驚きつつ、体勢をととのえる。
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