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ドサッと背中から地面に倒れた橘を見下ろして水城が呆れたように溜め息をついた。
『馬鹿、真っ向から突撃するなんて無謀だよ。ふいをつくつもりだったのかも知れないけど、彼にはそんなの通用しないって解るだろ』
『……っうる…っせぇぞ……っ!』
ゲホッと噎せつつも、悪態をつき身体を起こす橘。
『今の蹴りやり過ごすなんて、案外やるじゃないか。変態のくせに』
すごいすごい、と二、三度拍手を送る。
『動きも早いしキレもあった、判断力も良かった。フェイントも上手だったし、いいとこまできてたんだけどね』
――…まぁ、全部お見通しだったけどね。
『惜しかったな』
にっこりと綺麗に笑って小首を傾げた。
『――…っ……くそ…馬鹿にしやがって。おもっくそ嫌味じゃねぇか!何が惜しかったねだ!全然掠りもしなかったじゃねぇか!余裕綽々だったくせに!』
地面に座りこんだままの橘が、こちらを指差した腕を上下に振り、喚き散らす。
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