主人公鉄則4「頭脳明晰」

13/24
前へ
/145ページ
次へ
『それにしても、お前も結構やるじゃないか』 微かに頬をひきつらせた後、ふっと笑みを浮かべる。 『さっきの蹴りを避けるなんて。橘は避けられなかった蹴りを』 『てめ……っ』 そう言って橘に視線を向ければ、橘が口角をひくひくと痙攣させつつ笑った。 『……やっぱりいい性格してんなァ、鈴(りん)ちゃん?』 幾分落ち着きをはらって微笑みを向ける橘の、その視線は全然笑っていない。 『どーも。お褒めに預かり光栄です。あと馴れ馴れしく呼ぶな変態』 『…………っ!』 短く吐き捨てれば、橘は無理やり浮かべた笑みのまま、ふるふると怒りを抑えるように震えていた。 『――まぁ、当然だよね。悠樹が僕より弱いのは。悠樹には僕が武術を教えてあげたんだから』 水城が淡々とフォローなのかとどめなのか、よく解らない言葉を口にする。
/145ページ

最初のコメントを投稿しよう!

391人が本棚に入れています
本棚に追加