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――だが、……なるほど。
『――どうりでお前たちの攻撃の型が似ているわけだ。ただの高校生が、俺が気づけないほど上手く気配が消せたことも納得がいく。』
…まぁ、それでもやはり、悔しいものは悔しいが。
内心の若干の敗北感は隠して、笑みを浮かべる。
『――やっぱりすごいよ、お前ら。俺を相手にここまで“できる”奴ら、今まで一人も居なかった……。さっきの水城の動き……さすがに俺も少し焦ったしな』
『……鈴(りん)ちゃん…』
少しの苦笑を混ぜて微笑む俺に、橘が怒りをおさめる。
『そう?余裕そうに見えたけど。』
意外そうな表情をして水城が口をはさむも、彼自身も自らの技量を認められたことが嬉しかったようで微かに警戒を解いた。
『――鈴(りん)ちゃん……じゃぁ』
微笑む俺に、嬉しそうな顔を隠さず橘が期待を抱いて口を開く。
『…俺たちと友達になっ…』
――今だな……。
橘が完全に油断した瞬間、橘の言葉を遮り、瞬時に地を蹴りその場から駆け出す。
目を見開く橘の額をガッと左手で掴み後ろに押し、右手で橘の右腕を掴む。
そしてそのまま素早くその身を翻し橘の背後に回った。
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