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『――――…………ッい……っ!!』
グッと掴む手を強く引き寄せ、腕をひねりあげる形で、橘を拘束する。
そのままその手を上に引き上げれば自然と身体が前のめり、地面に倒れ伏せた橘の背中を片膝で押さえつける。
『さて、と』
呟いて、視線をあげれば唖然とした水城と視線が合い、にっこりと笑いかけた。
『――……簡単に引っ掛かってくれてありがとう。この隙(しゅんかん)を待ってたよ』
『――……やられたね』
悔しさから浮かび出る苦味をこらえて、水城が片頬をひきつらせた笑みを浮かべる。
『っ……てめぇ……!!このっ鈴っ…!卑怯な手ぇ使いやがって……っ!』
『うるさいな、お前に言われたくないよ。俺も卑怯な手を使って何が悪い。腕へし折られたくなけりゃ黙ってろよ』
ていうか、気安く呼ぶなっつってんだろうが。
喚く橘に吐き捨てるように言い、少しばかり腕を引く力を強める。
『……――――っ!』
『……さて、水城。俺が何を言いたいか、もうわかってるだろ?』
『――……まぁね』
にっこりと笑いかければ水城が頷いた。
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