主人公鉄則4「頭脳明晰」

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……いや、でも待てよ。橘と水城には目をつけられた上に素性がバレたが、如月にまでバレるとは限らない。むしろバレなければいいんじゃないか。 そうだ。普通は“僕”に目をつけたりしないんだ。ならばこの時間さえ乗り超えれば何の問題もない。 そう何も問題はないんだ。 昨日に続きひしひしと感じる“嫌な予感”には気づかないふりをして、それを打ち消すように自分に言い聞かせる。 バレたりしない。何も問題ない。 大丈夫。 大丈夫。 暗示のように頭の中、繰り返し唱えた。 ふぅっと1つ小さく息を吐き出して、幾分落ち着いた頭で思考を切り替える。 さっさとこのテスト解いて帰ろう。 そう決めて改めて問題に目を通せば、なんてことはない。 どれも教科書の内容さえ全て理解していれば簡単に解けるものだ。当然、俺は満点は確実だった。 しかし全てを正解する訳にもいかない。 良くもなく悪くもなく、平均よりやや下の点数。だいたいのそれを瞬時に計算して、いつものようにその点数になるように問題を解いていく。
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