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数学は好きだが、こういう時は面倒だと思う。
なんせ他教科は間違えたい所を適当に空白にしとけばいいが、数学は意図的に間違えた答えを導き出さなければいけない。
わざわざそれを計算する二度手間が面倒で仕方ないのだ。
――……まぁ、その計算すら俺には簡単なものだけど。
誤解答と正解答をそれぞれ書くべき場所に順次書き込んでいく。
……というか、このテスト、簡単すぎるだろ。
さらさらとシャーペンを動かしながら小さくため息をついた瞬間だった。
「――……簡単すぎるよな」
「――――……」
唐突にかけられた言葉に驚き、思わず目を見開いて、声の主――如月を見る。
「――……え……?」
小さく戸惑いの声を落とした“僕”に如月がフッと笑い言葉を続けた。
「このテスト、簡単すぎるよな」
楽勝すぎてやる気でねぇわ。
彼の指差す先には計算された痕跡がこれっぽっちもない、ただ全ての解答のみが書き込まれたテスト用紙。
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