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「――そ…そう…かな…。……難しくない……?」
はは、と自信なさげに笑ってみせる内心、酷く動揺していた。
――……吃驚した。
あまりにも彼の言葉がタイミングが良すぎて、自分の考えを見透かされたかのようだった。
「――そう?」
「……うん。すごいなぁ、如月くん。もう全部終わってるの?さすが学年トップだね…」
印象に残りたくないから本当はあまり会話したくないんだが……この状況では無視する訳にもいかず、仕方なく会話を続ける。
「簡単だったから」
「そっかぁ……あ、全部終わったなら先に先生の所に持っていっていいよ?その方が如月くん早く帰れるだろうし……」
ていうかむしろさっさと帰れ。
一分一秒、少しでも一緒に居る時間を減らしたくて、内心強く念じながら口を開く。
「ん――…いや、待ってるよ。どうせ二人だけなんだし一緒に持っていった方が効率良いでしょ」
いや、頼むから待ってないで早く帰ってくれ。
なんて口に出す訳にもいかず、俺は高まる嫌な感覚を誤魔化して曖昧に笑った。
「ありがとう。でも待たせるのは悪いし…」
「いいよ、別に」
如月はそう言うと、答案を机に伏せて置き、立ち上がる。そして俺の前の席に座り、肩肘をついてこちらを見た。
完全に待つ体勢である。
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