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「そんなの無理だよ……。」
「なんで?できるよ」
操作が終わったのか携帯を机に置いた如月が再びこちらを見据えた。
その視線から逃れるようにうつむき、苦笑を浮かべてみせる。
「できないよ。僕にはそんな難しいこと、とてもじゃないけど無理――……」
「だからお前なら簡単だろ?――……わざとそんな間違った計算ができるくらいなんだから」
――――――……今、…………なんて……?
咄嗟に脳が彼の言葉を拒絶して、言われた言葉が理解できない。
「――――……え……?」
思わず漏れた声は我ながら間の抜けたものだった。
聞き間違えであることを切望して目線をあげれば、目の前の男の唇が綺麗に弧を描く。
――――――っ……!
「前々からお前は怪しいと思ってたんだよ」
静かな教室でその言葉だけが妙にはっきりと響いて聞こえた。
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