主人公鉄則5「お人好し」

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もう何が起きても動じなくなっていたはずなのに。昨日から調子が狂わされっぱなしだ。 ……ああ、でも、それも当たり前かも知れない。 だって、と思う。 ―……だって、今までこんなことは無かった。 “俺”じゃない、こんな“僕”に意識を向ける人間は今まで居なかった。 “僕”が演技だなんてバレたことは無かった。 ――……それがこんなにあっさりと簡単に気付かれるなんて。 絶望に近い敗北感に困惑する頭を微かに振り、冷静さを取り戻そうと努める。 そんなことよりも、今考えるべきことがある…… どうにかこの状況を打破する方法を考えようとした時、そんな俺を追い詰めるかのように、如月がわざとらしい感嘆の声をあげた。 「――よくもまぁ、ここまでうまいこと成績をコントロールできるもんだ。綺麗に同じ場所を保っちゃって」 如月が持つ紙に写るグラフには、横線が入り俺の点数の数字が表記されている。 ――その横線のどれもが全て同じくらいグラフの僅か下を保っていた。
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