主人公鉄則5「お人好し」

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「それが本性か……確かに」 ニヤニヤと俺を見据えながら如月が小さく呟く。 最後の方に呟かれた言葉が聞きとれず、俺は顔をしかめた。 訝しむ俺を無視し、如月はすぐに言葉を続ける。 「それもあとでゆっくり教えてやるよ」 ――まずは先にこっちの要望をのんでもらおうか。 笑いつつ告げられた言葉は予想していた通りのものだった。 ……やっぱりそうくるのが当たり前か。 如月が握った弱味は利用するには十分のもので、これを使わないはずはない。 さて……どうする? 脅しされているこの状況は、しかし昨日から続いて経験するものなので、今度はあまり動揺しなかった。 けれど冷静に思考を巡らせても、浮かぶ案は変わらない。他の良案など浮かぶはずもなく、結局は昨日や今朝と同じ選択肢しか残っていない。 ……隙をついて逃げるか、シメて黙らせるか……もしくは要望をのむか、だ。 「――……要望……?」 問いかけつつも更に思考を駆け巡らせる。 隙をついて逃げたところで弱味を握られた状況は変わらない――……ましてや橘や水城の時と違って、こいつは確固たる“証拠”を握っている……。逃げてもまたそれをネタに俺に脅しをかけるだろう。
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