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「それが本性か……確かに」
ニヤニヤと俺を見据えながら如月が小さく呟く。
最後の方に呟かれた言葉が聞きとれず、俺は顔をしかめた。
訝しむ俺を無視し、如月はすぐに言葉を続ける。
「それもあとでゆっくり教えてやるよ」
――まずは先にこっちの要望をのんでもらおうか。
笑いつつ告げられた言葉は予想していた通りのものだった。
……やっぱりそうくるのが当たり前か。
如月が握った弱味は利用するには十分のもので、これを使わないはずはない。
さて……どうする?
脅しされているこの状況は、しかし昨日から続いて経験するものなので、今度はあまり動揺しなかった。
けれど冷静に思考を巡らせても、浮かぶ案は変わらない。他の良案など浮かぶはずもなく、結局は昨日や今朝と同じ選択肢しか残っていない。
……隙をついて逃げるか、シメて黙らせるか……もしくは要望をのむか、だ。
「――……要望……?」
問いかけつつも更に思考を駆け巡らせる。
隙をついて逃げたところで弱味を握られた状況は変わらない――……ましてや橘や水城の時と違って、こいつは確固たる“証拠”を握っている……。逃げてもまたそれをネタに俺に脅しをかけるだろう。
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