主人公鉄則5「お人好し」

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そんな俺にとどめをさすかのように、橘が叫んだ。 「だから何度も“俺たち”の勝負だっつってんだろうがっ!鈴斗に勝負の約束を取り付けたのは俺らだぞ!!」 「――ちょっと待て」 ――……気のせいではなかった。 悪い予感的中に顔をしかめつつ、低く制止の言葉をかける。 「……今……“勝負”って言ったか?」 俺の声に漸く口論を止めた二人がこちらに視線を向けた。 「しかも今、“勝った”って言わなかったか?」 ひきつる顔に無理矢理笑みを浮かべて問いかける。 「あぁ、言ったぞ」 「だって勝ったのは事実だしな」 橘と如月はそれに怯むわけでもなく、けろっとした様子で、むしろニヤニヤと笑って肯定を示した。 ――は?なんだって?今、なんつった?如月。 「ふざけんなよ。なんで俺が負けたことになってんだ、あぁ?」 ドスのきいた声色で凄むように言葉を吐き出す。
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