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そんな俺にとどめをさすかのように、橘が叫んだ。
「だから何度も“俺たち”の勝負だっつってんだろうがっ!鈴斗に勝負の約束を取り付けたのは俺らだぞ!!」
「――ちょっと待て」
――……気のせいではなかった。
悪い予感的中に顔をしかめつつ、低く制止の言葉をかける。
「……今……“勝負”って言ったか?」
俺の声に漸く口論を止めた二人がこちらに視線を向けた。
「しかも今、“勝った”って言わなかったか?」
ひきつる顔に無理矢理笑みを浮かべて問いかける。
「あぁ、言ったぞ」
「だって勝ったのは事実だしな」
橘と如月はそれに怯むわけでもなく、けろっとした様子で、むしろニヤニヤと笑って肯定を示した。
――は?なんだって?今、なんつった?如月。
「ふざけんなよ。なんで俺が負けたことになってんだ、あぁ?」
ドスのきいた声色で凄むように言葉を吐き出す。
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