俺は脇役だ！という主人公たち

これが学校生活というやつか

うん。本当に二人とも生き生きとしているね。

二人は今、愉快な会話のキャッチボールを繰り広げながら学校への道を歩いている。

お互いを馬鹿にしたような発言もその中には多分に含まれていたりするために、見る人によっては絆に亀裂ができてしまうんじゃないかという視線を向けている生徒をいる。

ただまぁ、実際には上条も姫川さんも相手に対して気兼ねなく話せる事に楽しさを覚えている事だろう。

この姫川さんとのやり取りは橘さんと嬢ヶ崎さんに次いで学園内で目撃することができる上条明のリア充目録の一つとして数えられている。

そんなものをいちいち数えているのは僕だけかもしれないが。

上条が学校内の男子から厚い信頼と同時に分厚い嫉妬を受けているのはもはや自明の理だが、その中でも【姫川ちゃんを温かく見守る会】のロリコン学生の皆さんからのその洗礼っぷりはなかなかにすさまじいものがある。

以前上条と姫川さんの二人が一緒に学食で昼ご飯を食べていた時なんかは、いきなりやたらとガタイの良い生徒4、5人が二人の前に現れて、

「貴様ぁ！！姫川ちゃんと何イチャイチャしているんだぁぁぁ！！！！」

「上条！今日こそお前を粉々に吹っ飛ばしてやる！！！！」

「上条。お前が何をしようと俺は構わない。そんなことは俺の知った事ではないからな。だがな！姫川ちゃんと仲良くする事だけは許さないぞぉぉぉ！！！」

などと各々が自由に己の気持ちを吐き出し、どうにかして姫川さんを上条から引き離そうとしていた。

さすがのリア充、上条も束になったロリコン達の力の前にはどうしようもなかった。

ついに上条地に落ちるのか！？

とにわかに騒がしくなりはじめた男子学生達の期待は、しかし、姫川さんの一言によって【姫川ちゃんを温かく見守る会】のロリコン達の心を打ち砕くと同時に崩れ落ちていった。