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『単純だな、お前。』
五月はそう言って笑いながら、自転車をこぎ始めた。
『単純ですよ、アタシ。てかさー、昨日のテレビ見た?』
捺月は横座りで足をぶらぶらさせた。
『見てない。てか、捺月、足、タイヤに絡まるぞ。あぶねぇから、動くなよ。』
五月がそう言った瞬間、自転車のスピードが上がった。
『キャッ…』
捺月は落ちそうになり、反動で五月に抱きついた。
捺月はすぐに手を離した。
『バカ。落ちるぞ、掴まっとけ。』
五月は片手をハンドルから離して、捺月の腕を無理矢理、自分のお腹にまわした。
二人の間に沈黙の空気が流れる。
これが友達以上恋人未満の関係だと実感する。
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