最初は小さな嘘でした。

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「寝起きの音ねぇに言うだけ無駄だろ」 唐突に私の後ろから聞こえた声。 私、織音波ーシキオトハーのことを“音ねぇ”と呼ぶのは、織奏ーシキカナデー私の1つ下の弟、年のわりには落ち着いている少しやんちゃな中学3年生だ。 ちなみに「でも…」と不機嫌そうな美音は私のことを“ねぇね”となんとも可愛らしい呼び方で呼ぶ。 「ほらまたボーッとしてるし。てか急がなくていーの?待ち合わせしてんじゃねぇの?」 目の前に持ってこられた時計 「…じゅうごふん?」 あれ? じゅうごふん? じゅうごふんって15分? 待ち合わせって何分だっけ…… たしか…… 「ちょっとねぇね!!いいかげん目覚ましなよ!亜乃ーアノーちゃんとの待ち合わせ30分でしょ!?」 ああ、そっか30分だ でも急ぐ気は、ない なぜならーーーーーー……
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