387人が本棚に入れています
本棚に追加
「頼みたい事ですか?」
紅茶が残ったカップを机に置いて私は聞き返した。
「実は今度、サウス訓練所からあなたと同期の転入兵がくるのよ」
(こんな時期に転入兵かぁ…。珍しいな)
今の時期は新入兵との連携等の調整や魔物の成長期だから、どこの支部も忙しいはずなのだけど…。
「あなたには、その転入兵とペアを組んで、色々教えてあげて欲しいのよ」
「えっ?でもそういうのは格上の方と組むのが基本じゃ…」
そこまで言って、自分が偉そうな事を言ってる事に気づき私は口を閉じた。
「ふふっ。構わないわ。確かにあなたの言う通り、基本的には格上の隊員とペアになるのだけれど、今は“例の件”で立て込んでいて、人員が足りてないのよ」
私は“例の件”という言葉にピンッときてあっと声を漏らす。
「“プロミス・タワー”のセレモニーですか?」
そう聞くとメリルはコクリと頷いた。
最初のコメントを投稿しよう!