第一章 影の始まり

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「頼みたい事ですか?」 紅茶が残ったカップを机に置いて私は聞き返した。 「実は今度、サウス訓練所からあなたと同期の転入兵がくるのよ」 (こんな時期に転入兵かぁ…。珍しいな) 今の時期は新入兵との連携等の調整や魔物の成長期だから、どこの支部も忙しいはずなのだけど…。 「あなたには、その転入兵とペアを組んで、色々教えてあげて欲しいのよ」 「えっ?でもそういうのは格上の方と組むのが基本じゃ…」 そこまで言って、自分が偉そうな事を言ってる事に気づき私は口を閉じた。 「ふふっ。構わないわ。確かにあなたの言う通り、基本的には格上の隊員とペアになるのだけれど、今は“例の件”で立て込んでいて、人員が足りてないのよ」 私は“例の件”という言葉にピンッときてあっと声を漏らす。 「“プロミス・タワー”のセレモニーですか?」 そう聞くとメリルはコクリと頷いた。
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