第二章 緑の群、渓流の鬼達

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「格好ってどういう事です?」 キョトンとしているノエルに私は笑顔で返す。 「ふふっ、頭にトウモロコシの髭がついてるよ。」 「えっ!嘘っ!」 ノエルは慌てて頭を両手で一緒懸命に探る。 ようやくその手が3本に分かれたトウモロコシの髭にたどり着いた。 「あっ、本当だ…」 頭から手に移った髭を見て、ノエルは顔を赤くした。 「ところで、畑の被害はどうだったの?」 「あっ、はい、食われたのが5本、踏み倒されたのも5本程度、ディックさんの話しだと被害は軽いそうです」 慌てて敬礼してノエルが答える。 「そう、良かった。」 私はホッと息をつく。 「ああ。さてじゃあ、そろそろ戻るか、道案内頼むよノエルさん」 「もお、先輩、私後輩なんですからノエルでいいですよ」 ここまで最低7回は見た光景だ。ホムラもホムラでなかなか慣れないみたいだ。 彼は右手で頭を掻く。 「分かってるんだけど、なかなか慣れないんだよなぁ」 「えー、その割にはシズク先輩は呼び捨てじゃないですか」 「確かにそうね」 私もそういえばと話に加わる。 「そこのところはどうなってるの?」 中腰姿勢から見上げるようにホムラに尋ねる。
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