第二章 緑の群、渓流の鬼達

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「いえ、任務ですから」 私はディックの笑顔を見て嬉しくなり、そう言って微笑み返した。 「森の入り口近くに死体がありますが、こちらの処理班が処理しますので絶対近付かないでくださいね」 ホムラは付け加えるようにディックに説明する。 「あの糞野郎の死に様を拝んでやろうと思ってたんだけどなぁ」 ディックは悔しそうに笑い、それを見て、ホムラは苦笑した。 「魔物の死体は魔物を呼びますからね。寄って来るのは掃除屋のドロネズミやハイドックみたいな小型種ですけど、数が多いと危ないですからくれぐれもお願いしますね」 「仕方ねぇ、恩を徒で返すのは男じゃねぇからな。他の連中にも注意しとく。」 「ありがとうございます。では私達はそろそろ本部に戻らないといけないので失礼しますね」 ノエルの声を皮切りに歩き出そうと道に身体を向ける。 「おい、ちょっと待ってくれや」 歩き出そうとしたシズク達を止めたのはディックだった。 ディックは少し待てとその場に3人を留まらせるとトウモロコシ畑へと入って行く。 何のことか分からず顔を見合わせる。 数分後、ディックは再びトウモロコシ畑から飛び出した。
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