第一章 影の始まり

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「今日も新人君たちは大変ね」 後ろからの声に振り向くとよく知った顔が見えて、私は微笑んだ。 整った顔立ち、無駄のない体系、セミロングの綺麗な金髪を後頭部辺りで一つに纏めている彼女は同僚のティナ=アルヴァン。 シズクを含む貴重な女性隊員の一人だ。 「ティナおはよう!今日の隊長はリピート訓練隊長だから。ちょっとかわいそうだなぁ」 「うわっ!リヒト隊長?へたすりゃ一万回は固いわね。ご愁傷様!」 そう言って手を合わせるティナを見て私は苦笑した。 リヒト隊長の腕立て伏せはえげつない事で有名だ。 100回まではちゃんと数えるのだが、100を数え終わった後に数えはまた1に戻り、何度もそれが繰り返される。 だから隊員達間では名前を文字ってリピート隊長と呼ばれている。 「ところでシズク。隊長がお呼びだってさ」
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