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「はは、何気たのしみだな。」
本館から東館へ移動する渡り廊下で、翔夜は少し距離をとって歩くポニーテールの少女に話しかけた。
「そう・・・?」
奈々美は、めんどくさそうにタメ息をついて、背伸びをする。
「てかさ、奈々美、お化けとか駄目じゃなかった・・・?」
翔夜が、奈々美の顔をのぞきこみそう尋ねると、
「はっ、本気で出るわけないじゃない!!」
そういって、顔をそらす。
「大体冗談で言ったのに、あんたが煽るから・・。」
「いや、大体陽一だろ・・・。」
泣きかけの顔で、ムキになり翔夜の背中を殴りつける。
「イタっ!? 悪かった、悪かった。」
背中を押さえ謝る翔夜。
「おーい、おいてくぞー。」
陽一が、大声で二人に向かって声をかける。二人は「ごめーん」と笑いながら走って合流した。
「何イチャついったの?」
「イチャついてねぇよ。ただ奈々美があまりにも恐がってたからおちょくっただけー。
奏も元気ずけたろっか?」
合流した翔夜に向かって笑いかける奏に対して翔夜は、言葉を返し頭をなでる仕草をする。
「いらんわ!」
奏は言葉と同時にこぶしを翔夜に向けて突きつけてきた。
紙一重で翔夜はパンチをかわす。
「おいおい。喧嘩すんなよ。」
想太が、二人を止めようとする。
「大丈夫だよ。俺は、女には手出さねぇから。てか、最近マジ奏恐いわー。
すぐに暴力振るうし、言葉キツイし。なぁ?」
翔夜が、みんなに視線を送る。
「確かに。」と、遠くで三谷がうなずいた。
「えっ、そう?」
と、言って奏はもう一度パンチを繰り出した。
軽くよける翔夜。だが別の腕からもう一発のパンチがとんでくる。
予想外の一撃に惑い、とっさに腹に力をいれ最低限のダメージを殺す。
「イタッ!?なんで、2発??」
翔夜は、パンチのあたった腹を押さえて、奏を見た。
「三谷の分。」
奏は、笑ってそういった。遠くで三谷が、自らを指差し「俺!?」とあせる。
「俺関係ねぇーじゃん。」
翔夜の言葉でみんなが、一斉に笑い出す。すれ違う生徒たちが驚いている。
「いいなー。二人とも仲良くて。」
彩夏が、二人の後ろで笑っている。
「仲良くはないでしょ。てか、翔夜には言わないほうがいいよ。
あいつあれでも、気にしてるんだから。奏のこと・・・。」
奈々美もつられて笑いながら、彩夏に言った。
彩夏は、戸惑いながらもうなずいた。
そして、ついに東館の4階にたどり着いた。
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