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「おっ、ついた。どの扉?」
翔夜は、最後の階段をダッシュで上がり白い床の上で何度かジャンプする。
「こっちが、大講義室だから・・・。これか・・・?」
陽一が、指差した大講義室とは逆の部屋へ移す。
「やっぱ、帰ろうよ。」
彩夏が、奏の後ろに隠れる。由乃が大丈夫、大丈夫と頭をなでる。
手には、先ほどの絵の具が数箇所乾いた状態でついていた。
全員が、扉の周りへ集まった。
視線の先には、白い扉が堂々と立っている。
「意外とふつうだな・・・。妙に綺麗だし。」翔夜は点々と視覚情報をあつめる。
そして、ついに扉にふれた。
「開けるぞ・・・。」
全員が、うなずく。
翔夜は息を呑む。高まる心臓の動きが、さらに早くなるのを感じた。
直感で、この奥に広がる{何か}が自分の運命を大きく変えることを悟ったのだ。
扉を勢いよく左へ動かすと、ガラガラと音を立て、ゆっくりと扉は開いた。
たが、その中にあるはずの部屋は、中にはなかった。
その中に広がっていたのは、{無}だった。
壁や、天井はもちろんものひとつない、真っ白な空間。
「何だよ・・。これ?」
翔夜が、唖然としてつぶやくと、後ろからぶつかられバランスほを崩す。
「おい!押すなよ!」
倒れ、白い空間の中へ吸い込まれるように落ちていく中、翔夜は必死で身体の向きをひねる。
顔は、隠れているが小さな男がいるのを確認する。
「お前・・。」
そして、翔夜たち8人は、真っ白な空間へと落ちていった。
日常は、破壊された・・・。
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