第一章<開かずの扉>

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「おっ、ついた。どの扉?」 翔夜は、最後の階段をダッシュで上がり白い床の上で何度かジャンプする。 「こっちが、大講義室だから・・・。これか・・・?」 陽一が、指差した大講義室とは逆の部屋へ移す。 「やっぱ、帰ろうよ。」 彩夏が、奏の後ろに隠れる。由乃が大丈夫、大丈夫と頭をなでる。 手には、先ほどの絵の具が数箇所乾いた状態でついていた。 全員が、扉の周りへ集まった。 視線の先には、白い扉が堂々と立っている。 「意外とふつうだな・・・。妙に綺麗だし。」翔夜は点々と視覚情報をあつめる。 そして、ついに扉にふれた。 「開けるぞ・・・。」 全員が、うなずく。 翔夜は息を呑む。高まる心臓の動きが、さらに早くなるのを感じた。 直感で、この奥に広がる{何か}が自分の運命を大きく変えることを悟ったのだ。 扉を勢いよく左へ動かすと、ガラガラと音を立て、ゆっくりと扉は開いた。 たが、その中にあるはずの部屋は、中にはなかった。 その中に広がっていたのは、{無}だった。 壁や、天井はもちろんものひとつない、真っ白な空間。 「何だよ・・。これ?」 翔夜が、唖然としてつぶやくと、後ろからぶつかられバランスほを崩す。 「おい!押すなよ!」 倒れ、白い空間の中へ吸い込まれるように落ちていく中、翔夜は必死で身体の向きをひねる。 顔は、隠れているが小さな男がいるのを確認する。 「お前・・。」 そして、翔夜たち8人は、真っ白な空間へと落ちていった。 日常は、破壊された・・・。
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