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爽やかに風が教室を流れカーテンを揺らめかせる。 僕は授業が終わり今日は何もすることがなく帰宅する準備をしていた。 学校中にチャイムが響き渡るのと同時に静かな教室が急に騒ぎ出す。 4月下旬となるもクラスには未だに馴染めず集団から外され孤立している人が6人くらいいた。 その中には僕も含まれている。 周りには部活行こうとかカラオケ行こうとか映画見ようとか みんなの楽しげな声がする。 さて、準備も済んだことだし帰ろうと席から立ち上がったその時だ。 後ろから肩に温かい手が乗っかる。 振り向くと一人の好青年が立っていた。 「なあ直江、今日も一人で帰るのか?」 直江というのは僕のことだ。 僕は直江 睦月(なおえ むつき)、今年高校に入学したばかりだ。 自分で言うのもおかしいものだが結構内気な方だと思う だから高校に入ってまだ友達が一人できていない。 「うん、部活入ってないから帰るつもりだけど…」
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