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…いた。 一人で黙々と、酢豚定食を食べている。 結ばず垂らした、背中まである黒髪。 ワンピース姿で小学生くらいの少女。 整った顔立ちで、少しつり目。箸を掴む手は雪のように白く、支える腕は細く、すらっとしていた。まるで何かの人形の様だ。 その少女は、食べている酢豚の合間に入ってるパイナップルを見つけては、嫌そうに凝視して …それを躊躇い無く後ろに放り投げた。 悪者を退治するが如く、当然の様に、嫌悪を込めて放り投げた。 普通ならそれを見て注意するか、若干引くか、なんらかの対処をするものだが、俺は彼女の性格を知っている。 それに、『ここ』はそういうことをしても許される場所だと知っているのだ。故に俺は、それが正しいのか分からないが、「黙って見守る」という対処に出た。
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