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act1:『acceleration』
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最近になって視覚が悪くなってきたのを感じる。
自分の死期を間近に感じるようになってきたのは自分が諦めたからだろうか。
『キミの寿命は後僅かだ。 覚悟しておいてくれ』
街外れの内科医に宣告された寿命。
ふとまだ痛みが残る右腕を目の高さに上げる。 傷だらけの掌。 タコや擦過傷の傷跡が刻まれている。 勲章とも取れる自慢の掌。
「諦めなきゃ、ダメか。 いや、覚悟を本格的にしなきゃダメなんだ、きっと」
産まれてから今に至るまで数々の覚悟と決意はしてきた。 でもそれでも足りないんだ今度のは。
外気に晒された肌は少し暑い。 そんなことを感じるのも後少し。
「手遅れになる前にしなきゃならない」
独りごちる。 誰に言うわけでもなく自分に言い聞かせなきゃならない。 じゃないと生半可な覚悟になってしまう。
「差し当たっては、クウェルト帝国にでも行くかな」
手遅れになってからでは遅い。
"アイツ"と闘わなければならない。
「不本意だけど仕方なし、か」
足を国外へと向ける。
さあ、最後の戦闘を計画しなきゃな。
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